JR3KBUの電子工作のページ  (2021年8月)

タンデムマッチカプラーによるSWRメーターの製作

「トロイダルコア活用百科」には"CMカプラー"によるSWRメーターの
製作例があり、私も何台か作ったことがあります。
良好に動作しますが、ダイオードによる検波部分があり、これが
ダイナミックレンジを狭める原因になります。100W用に作ると1W程度の場合に
感度が悪く、数W用に作ると100Wの場合に飽和、ダイオードの破壊などが
起こります。

タンデムマッチカプラー”は、検波部にLogアンプを使うことにより
mW級からkW級までカバーできます。トロイダルコアが2個必要で、
この2つのコアをシールドする必要があるのですが、無調整で動作しますので
今回はこれを作ってみることにしました。


タンデムカプラーそのものと、表示する部分は別筐体にすることします。
まずはタンデムカプラー(心臓部)を作ります。


バリを簡単に取る秘密兵器です。


キレイに取れます。


コアをシールドするしきり板は、折り曲げて作ると、どうしても寸法が合わず
シールドが不完全になってしまいます。
そこで平板とLアングルをネジ止めして作りました。平板の穴を大きめにして
Lアングルの位置を微調整できるようにしました。
しきり板です。
1枚の板を折り曲げて作ればいいのですが、私の技術では無理です。


このようにアルミケースに取り付け、アルミケースを2分する構造です。


主たるRFを信号はM型(正確にはUHF型)コネクタ、
進行波と反射波の検出出力はSMA型コネクタを使います。


配線をします。
コアはFT-82 #61です。
巻線は20回巻いています。
検出出力は1/400(-26dB)減衰されます。


別の角度から。コアの巻き方は逆にしなければなりません。


50Ωで終端して、カプラー出力のFWDとREFを測定しました。
1MHz・ 2MHz・ 4MHz・ 7MHz・ 14MHz・ 28MHz・ 50MHz・ 150MHz の8点です。

SSG出力は0dBmで、コアは20回巻きですので1/400(=-26dB)となります。

まずカプラー無しのスルーでSSGの0dBm出力をスペアナで観測したところ
-1.3dBmでした。どこかで1.3dBのロスがあるようです。
SSGとスペアナはN型コネクタで、それにN→SMAの変換コネクタと同軸ケーブル、
SMAのスルーコネクタの合計でしょう。

FWDは1〜50MHzで測定値は-27.0dBm〜-27.4dBmとほぼぴったりの値です。

REFは本来、無限小のはずですが、周波数とともにレベルが上昇します。
しかし50MHzでFWDとの差は25dBあり、この辺りまでは使えそうです。

150MHzでは使いものになりません。
コアの線路長が45cmぐらいありますので、波長2mに対して充分長いので
ダメなんでしょう。

50MHzなら波長6mですので、45cmは1/10以下なので何とか使えるのだと思います。


次に22Ωの負荷で実験してみました。SWR=2.27となります。
計算上、REFはFWDより8.23dB低くなります。
実測値と非常に近い結果が得られました。


次は100Ω負荷です。SWR=2.0となります。
計算上、REFはFWDより9.54dB低くなります。
実測値はそれよりもやや低く(SWRは良いように)観測されました。

こんなものかな、、、


念の為、もう少し実測してみました。
10Ω負荷です。SWRは5.0となります。
計算値とよく一致しています。


220Ω負荷です。SWRは4.4となります。
計算値とよく一致しています。

SWRの値が良い場合、REFの値は小さくなるので誤差が増えるようです。

次は表示部です。
続く・・・