DR650SE クラッチ板の交換  (2022年5月1日)

新車を買って16年、走行4万5千kmです。
だいぶたくさん走りましたので、また不具合が発生しました。

半クラから急にガツンと繋がるようになってきました。
いわゆる「ペッタンクラッチ」です。
直進なら、まあいいのですが、一旦停止してから左折・右折する際に、
車体が傾いていてガツンと繋がるとタイヤが滑りつつウィリー気味になって
こわいのです。

そして、クラッチの「切れ」が悪くなりました。
私はクラッチの遊びは少なめにするのが好みなのですが、
遊びが少なめでも、目一杯レバーを握り込まないとニュートラルから
1速に入れた時にガツンとショックがあります。

異音はなく、滑る感じはありません。

またクランクケースカバーからクラッチのリリース軸が上向きに出ていて、
その軸のところから軽いオイル漏れがあります。高い位置にあるので
漏れ出てくるわけではないのですが、にじんでいます。そこのオイルシールも
換えようと思っています。

まずオイルを抜きます。


クランクケースカバーを開けるのに
ステップとブレーキペダルが邪魔ですので、これらを外します。


ステップを外し、


ブレーキペダルを外します。
ヤバ! 16年間、バラしたことないのでグリスが切れてサビてました
スプリングを外してフリーの状態で動かしてみると、動きも渋くなってました。

→組み付ける時、真鍮ブラシでピカピカに磨き、グリスをたっぷり塗っておきました。


クラッチのリリースシャフトのところからオイルが滲んでいます。
シールを買って交換しようと思ったのですが、、、 (→後述)


とりあえずクランクケースカバーを開けます。
このオイルラインを外します。


それとここのオイルラインも外します。


クランクケースカバーは、ゴムハンマーで10発ほどコンコンしたら
あっさり外れました。


クラッチ板を外します。


クラッチ版を取り去ると、最後に1組のクラッチ板が残ります。
DR650の場合、なぜかピアノ線のようなものでクラッチバスケットに
半固定してあるのです。


一番奥のクラッチ板(ドリブン側 下図の8番)です。筋状に削れているのは
ワッシャー(下図の7番)が当たっているから(新品にはこのようにはなっていません。)。


7番のワッシャーは普通の平らなものではなく、convaved(凹んだ)形状になっています。
バネになっていて圧縮できます。
サービスマニュアルには断面図が描いてあって、ワッシャーの内側が手前に出っ張るように
取り付けることになっています。
私のDR650では新車からの状態で、このワッシャーは裏表が逆に組まれていました。
それで8番のクラッチ番の筋状の凹みができたものと思われます。

ワッシャーの奥には6番の部品(ワッシャーシート)があって、この形状から考えても
裏表を逆に組んではいけないはずです。


クラッチ板(ドライブ側)。
厚みは2.95mm〜2.70mmと、使用限界(2.6mm)以上ありましたが
所々が剥離していました。
これは問答無用で交換です。

クラッチスプリングは34.5mm程度と使用限界の33mm以上ありましたが
これも交換します。新品は35mm以上あります。


クラッチバスケットを外しました。


この(ニュートラル・センディング・ユニット)を
取り付けるネジ(2本)が外れやすいんだとか。
ドライバーで回してみると簡単に緩みました。

このネジが脱落すると、、、大変なことになります。
最悪、エンジンが壊れます。


NSUはプラスティック製ですのであまりきつくネジを締められませんので
次の3つの対策を施しました。

1.NSUを固定するネジを4mm長いものに換えました(16mm→20mm)。

2.ネジにスプリングワッシャーを入れました。

3.雌ネジ側を綿棒+パーツクリーナでキレイに脱脂して
  緩み止め剤(中強度)を塗布しました。

これで緩まないでしょう。


ガスケットがカバー側にべったりと固着してました。


さて、カバーのガスケット以外をマスキングして、
ガスケットリムーバを噴射、
しか〜し、全く取れません。
固着というよりカチカチに固化していて、
ガスケットリムーバがほとんど浸透しません。


スクレーパーで擦っても0.2mmとかしか削れません。
またガスケットリムーバーを吹いてしばらく待って削って
というのを繰り返し、4時間ぐらいかかりました。


何とか全周、削り落とせました。


オイルストーンで磨いて、液体ガスケットを少量塗って
組み付けました。


結局、リリースシャフトのオイルシールは交換しませんでした。
カバーを外せばシャフトを外せると思ったのですが
カバーの内側からは何もできません。
ということはシールはカバーの外側からほじくり出さねば
なりません(カバーを外す/外さないのとは無関係)。
これ、絶対悪戦苦闘することになるので交換は見送りました。
まだ滲んでいる程度ですので。

これと全く同じです。↓
 DR-Z400S ギアシフトシャフトのオイルシール交換
この時はシャフトを反対側から引っこ抜いて、
シールをパイロットベアリングプラーで取り出しました。

もっと酷くなったらシャフトを抜く方法を考えてみます。
スライディングハンマーでシャフトを引き抜けばいいような
気がします(ベアリング、シール共々引っこ抜ける?)。


新しいオイルを入れてミッションコンプリートです。


【おまけ】エキパイのガードを社外品に換えました。ちょっと短いですかねぇ。

交換後、
 ・ペッタンクラッチは治りました。
 ・クラッチの切れは良くなりました。
 ・クラッチ操作が軽くなりました。

新車の時のいい感じに戻りました。
めでたし、めでたし。