XLR125Rのヘッドライトリレーの改良 (2008年8月2日

スイッチング素子として2SK3140を使いましたが、このFETのゲートの耐圧は20Vしか
ありません。バッテリーからスイッチを介して直接ゲートに入力するのはスパイクノイズが
乗るかもしれないので、危険のような気がします。
そこで少し分圧して電圧を下げ、保護素子(バリスタ)を挿入することにします。

また、負荷であるヘッドライトバルブの冷間時の直流抵抗は0.34Ωでした。
14Vの電圧を加えると一瞬ですが40A以上も突入電流が流れることがわかりました。
バルブのフィラメントに優しくするためにソフトスタートするように考えました。

2SK3140のデータシートのゲート電圧とドレイン電流の関係を示すグラフです。
これではわかりにくいので25℃のラインで必要なところを拡大したのが
これ↓
ドレイン電流が流れ始めるのはゲート電圧が2.3Vの時。
ドレイン電流が5Aになるのは、2.6Vの時。
ドレイン電流が20Aになるのは2.8Vの時。

単純にONするだけだと40Aほど流れますので
この2.3V〜2.8Vの区間を少し長めに変化させれば
20A以下に制限できそうです。


4.7kΩと3.3kΩで分圧します。これでFETのゲートには
6V弱しかかからなくなります。

また、バリスタを入れました。
 動作電圧=7.5V
 バリスタ電圧(1mA)=12V
 トリップ電圧(5A)=20V
という規格です。

220kΩと1μFで時定数をつくります。

OFF時には速やかにゲート電位が下がるように
ダイオードで220kΩをスルーし、3.3kΩを介して
GNDに放電します。

うまくいくかにゃ〜

上の回路をシミュレートしてみました。
ゲート電位の立ち上がりが緩やかになっています。


立ち上がりの2.3V、2.6V、2.8Vの辺りを拡大してみました。

2.3V→2.6V に20ms、
2.6V→2.8V に18ms程度かかります。

これで効果があるでしょうか。
作ってみて実測しないとわからないです。

ランプの冷間時の直流抵抗が0.34Ωなので
これより充分低い抵抗をランプに直列にして、
その両端の電圧をオシロスコープで読むことに
します。

「充分に」低いかどうかはわかりませんが、手持ちの
抵抗0.22Ωを11本並列にして0.02Ωの抵抗でやって
みます。

もし40A流れれば、0.8Vの電圧が観測されるはずです。
定格5Aならば0.1Vです。このぐらいの電圧ならば
オシロでも観測し易いです。


これが時定数無し場合のH4バルブへ流れる電流波形です。
0.02Ωの抵抗を直列に入れ、その抵抗の両端の電圧を測っています。
ピークで1Vですから、50Aですね!
定格の10倍も流れています。


FETのゲート信号を作るために、ブレッドボードにRS-FF回路を組みました。
チャタリング防止です。
CMOSの4011(NAND)を使いました。12Vでも動作するのでこういう時に便利です。


こんな感じ。
H4バルブを点灯させる電源は新品の充電したての
14Ahの鉛バッテリーを使いました。
バッテリーの端子電圧は13.0Vでした。


ゲート電圧を観測しました。思った通り、緩やかに
ゲート電圧が上昇しています。


これが、OFF時のゲート電圧。
速やかに下降しています。


さて、これで点灯してみます。
これが電流波形。
あらら、思いっきり寄生振動が発生してます。
壊れる〜




ゲートにフェライトビーズを入れてみましたが効果なし。
47Ωの抵抗を直列に入れたところ、寄生振動が無くなりました。
あ〜、良かった。

ピークで0.3Vですから、ピーク電流は15Aに減少しました。
最初は50Aも流れてましたから突入電流は1/3以下になりました。

これでいいことにしましょうか。
回路は決まりました。また基板を作ることにします。→続きを見る