DR650SE ヘッドライトリレー(自作FETリレーの置き換え)  (2022年6月12日〜7月11日〜9月18日)

DR650のヘッドライトがLow/Highとも
点かなくなりました。

バッテリーのそばのFUSEは?
  切れていません。

次はヘッドライトのそばのFETリレー基板。
バッテリー直結の12Vライン
  基板内に来ています。
Low/Highの切り替え信号
  基板内に来ています。

H4バルブ
  12Vを直接加えると、Low/Highともに点灯します。

以上で、FETリレー基板に問題があることがわかります。
この基板は2014年9月に設置したものです。→ここ
8年前ですね。

壊れたFETリレー基板。 自分でエッチングして作りました。
汚くなっていますね。
銅箔の光沢が無くなっています。

部品面にはアクリル板で覆っていますが、ヘッドライトユニットの後ろに
置いてあるだけなので、酸化しています。
一応、「追いハンダ」してみましたが、状況は変わらず。


基板を修理するのはやめて、置き換えることにします。
2020年の7月に業者にプリント基板を作ってもらっています。
まだ実装していませんが。

最新回路は、タコメータユニットから「エンジンがかかっているか」の
信号をもらえるようになっています。
タコメータユニットからエンジンの回転が1200rpm以上で
ヘッドライト信号がONになります。

旧回路では、バッテリーの12Vラインのイグニッションノイズを
検出してエンジンがかかっているかどうか判断していましたが
これがもうひとつです。セルモータが回った時に強烈にノイズが
のるから、これで「エンジンがかかった」と誤判断してしまいます。

なんでこういうことをするかというと、エンジンがかかるまで
ヘッドライトは消灯しておきたいからです。
冬の朝の始動が苦しいのです。

また修理まで遠い話になりました。


部品を実装していない、と思ってましたが
2年前の8月に実装して、ソフトも作成、動作チェックまでしてました。
すっかり忘れていました。
まだ動作していたので、新しい基板に交換しなかったのですね。


バイクにセットしたところ、正常に動作しました (2022年6月18日)

 ・点火プラグを外してセルモータを回したところ、エンジンがかからないので
  ヘッドライトは点灯しません。

 ・エンジンがかかるとヘッドライトが点灯しました。

 ・エンジンをかけないで、ライトのH/Lを切り替えたところ、ヘッドライトが点灯しました。

意図したとおり、ちゃんと動作しました。


FETリレー基板とコネクタ基板ははんだ付け面がむき出しですので
絶縁します。基板を2枚のアクリル板でサンドイッチします。

と、ここまでやって、基板とアクリル板の間に入れる樹脂スペーサが
ないことに気が付きました。M2のネジなのでホームセンターには
置いてないのです。
スペーサの専門メーカーの廣杉計器に発注します。

また来週ですね。なかなか完成しません。
ヘッドライトが点かないとバイクに乗れません、、、


FETリレー基板からの配線を少し長くしました(2022年6月25日)。
H4バルブのコネクタを新調しました。
バッテリーからの直接配線のコネクタをギボシ端子から2Pのコネクタにしました。


こんな感じ。

ところが、、、FETリレーのFETが壊れます(D-S間がショートする)
1回壊れて、FETを取り替えても、またすぐに壊れます。
なんで? 仮付けでは動いていたのに(2022年6月26日)。


実機でやっていてはダメだ、ということで、家の中で実験できるように
ユニバーサル基板でスイッチ入力できるようにしました。

また、バッテリーからの直結線ですが、実機ではたぶん1.5m弱ですが、
2mのものを新たに作りました。

これと、実機の鉛バッテリーを外して家の中で実験しました。


FETが壊れる原因として考えられるのは、バッテリー直結配線のインダクタンス。
OFF時にサージが発生してFETが壊れる? と思ったのですが、全然、そんなことは
ありませんでした。

1.5mの平行線でそんなにインダクティブになるか、と言うと、
ならないでしょうね。
モーターとかリレーのコイルではないのですから。
過去に作ったFETリレーは3個とも、FETのD-S間には何も入れていませんが、
順調に動いています(動いていました)。

また現回路はFETのG端子には、PWMのC・Rが入っています。
ON時にはゆっくりとゲート電圧を上げていますし、OFF時も若干の時定数があり、
急峻にはOFFしていません(急峻にはOFFできません)。
上の観測結果のように5〜6msぐらいかけて、5V→0Vになっています。
そしてドレイン電圧も0→12Vと穏やかに変化しています。
サージ電圧は発生していません。


ということで、あと考えられるのはエンジンです。
エンジンをかけるとバッテリーの12Vラインには細かいヒゲ状の
スパイクノイズが乗ります。これが悪さをする?
セルモータのブラシからかもしれません。

何しろものすごく暑く、スパイクノイズを測定するために
オシロを持ち出すのはやめておきました。いつでもできますし。
また涼しくなったら観測してみます。

念のため、FETのD-S間にツェナーダイオードを入れました。
16V3Wのものです。
FETの上に重ねてエポキシ樹脂で固定してはんだ付けしました。

ちなみに、
マイコンのための5Vは、三端子レギュレータで作っていますが、
この入力には厳重にスパイクノイズ対策がしてあります。
47μHのチョークコイル → 上記で使った16V3Wのツェナーダイオード → セラミックコンデンサ
という具合になっています。


 
こんな感じで絶縁しています。

これでやってみたところ、順調に動くようになりました。(オドメータ:45,145km)
しばらく様子見をします(2022年7月11日)。
新基板に入れ替えるまでに、ほぼ1ヶ月かかってしまいました。


再発しました2022年9月5日)。
Lowビームが点きっぱなし。
あら〜、Power MOS FETのハンダが取れて、斜めになっています。
ハンダ付け不良ではなく、熱でハンダが溶けたみたいです。

FETを外してD-S間をテスターで抵抗値を測ったところ、両方向で
完全にショート状態でした。
後付けしたツェナーダイオードは生きてるみたいでした。


Highビーム側は問題ありません(Lowビーム側のFETは外したままで実験しています)。
何度もON/OFFしましたが普通です。
3分間点けっぱなしにしてみましたが、
FETはほのかに温かいだけです。

6月にも「点灯しっぱなし」なり、FETを交換しても
すぐに再発。
ツェナーダイオードを入れたところ2ヶ月ぐらいは正常でしたが
再発しました。

Lowビーム側に壊れたのと同じ銘柄のFETを付けてみたところ
すぐに(数秒で)再発。FETを触ってみたところチュンチュンに熱く
なっていました。

実験は室内でやっていて、エンジンからのノイズとは関係ありません。
電源は実機の鉛バッテリーでやっています。
FETのG端子はON時4.8VOFF時0Vで問題ありません(High側、Low側共に)。


どうもFETにバラつきがあり、耐圧(? 耐電力?)に
問題があるものが含まれているのではないかと思います。
ツェナーダイオードの有無は関係ないようです。

このFETは、秋月電子で5個¥100で売っているものです。
 NP52N06SLG (ルネサス)
 VDSS=60V
 ID=52A
 ID pulse=104A (10μs Duty1%)
 RDS max 25mΩ (@VGS=4.5V)
 チャネル・外気温熱抵抗=125℃/W


負荷であるH4バルブの特性は以前取ってあって
定常は5A、ON時の突入電流は50Aぐらいです。
またこの基板は突入電流を逓減するために、FETのGate電圧を
緩やかに変化する仕組みがあります。ON時の突入電流は16Aぐらいになっています。
以上より電流についてはFETの規格内なので問題ありません。

次に熱損失について考えてみます。
25mΩに5A流れれば125mVの電圧降下があり、FETの損失は0.625Wです。
チャネル・外気温熱抵抗は125℃/Wですので78℃上昇することになり
外気温の高い夏は苦しいかもしれません。ただ外気温が50℃としても
128℃なので壊れるほどではありません。

ON抵抗はmax値の計算であること、FETのドレインには
幅広のプリント基板の銅箔にはんだ付けしてあることで
大丈夫かと考えました。


今度はFETを一回り大きいTO-220型のものに交換することにしました。
 FKI06051 (サンケン)
 VDSS=60V
 ID=69A
 ID pulse=137A (100μs Duty1%)
 RDS max 5.8mΩ (@VGS=4.5V)
 チャネル・外気温熱抵抗=62.5℃/W


SMD用のパターンですので、スルーホール型の部品で、しかも外形が大きくて
ハンダ付けは非常に困難でした。
念のためにツェナーダイオードも入れておきました。

これで、Low側、High側それぞれ3分間点けてみました。
正常でした。
暖かくもなりません。どっちが点けている方のFETだ?
と思うほど、温度上昇はありません。

DR-Z400にも同じようなものを8年前に付けていますが、壊れていません。

よく壊れるのはこの基板にしてからです。
原因はFETの使い方に余裕がないせいだろうと思います。
当面はこのまま使いますが、機械的に不安定なので、
プリント基板を作り直すことにします。

このサンケンのFETだとON抵抗が低く、また外形が大きいので熱抵抗も低く、
 電圧降下は最大でも29mV
 電力損失は0.145W
 熱上昇は9.1℃
となり、充分クールです。