中華製のTIG熔接機を買いました。 (2011年3月14日)

TIGというのは タングステン・イナート・ガスの略です。

タングステンはアーク(火花)を飛ばす電極の材質のことです。
融点は3500℃ぐらい、鉄は1500℃ぐらいです。

ムカシながらの熔接(被覆アーク熔接)は電極そのものが
アークの熱で熔けていきますが、TIG熔接は電極のタングステン
は熔けません(少しは熔けてチビていきますが)。ただアークを
発生させて母材を暖めて熔かすだけです。

ですので直流TIGの場合、電極をマイナス、母材をプラスにします。
母材がプラスの方が、電子が母材に集まるので、母材をより熱く
することができるからです。被覆アーク熔接は極性が逆でアーク棒
が熱くなって熔けるようになっています。

このTIG熔接機は接続ケーブルを繋ぎ変えることで被覆アーク
熔接もできるようになっています。

イナートガスというのは不活性のガスのことです。日本では
経済性からアルゴンガスを使います。アメリカなどでは
ヘリウムガスを使うそうです。

なぜ不活性ガスを使うかというと、母材が真っ赤に熔けて
ドロドロになっている部分の酸化や窒化を防ぐためです。
アークを包み込むように不活性ガスを一定量吹きつけ、空気を
遮断します(シールドガスと言います)。

熔接は今までに一度もやったことがないのですが、アークで
母材を暖め(熔かして)、そこに熔加棒を熔け込ませるやり方は
半田付けに似ているような気がしてこの熔接方法にチャレンジ
してみることにしました。 

TIG溶接機のAC入力ケーブル。
何だか薄汚れています。
長さも2mしか付いてなくて短いので5mのケーブルに繋ぎ換えることにします。
最大28Aの電流が流れますのでVCTの3.5SQにします(単相200Vです)。


上蓋を外したところ。パッと見では、けっこう綺麗です。
プリント基板の仕上がり具合は、部品はまっすぐ整列して付いていて(曲がって付けてなくて)、
半田にはツヤもあり、上手です。 
思ったよりしっかりとしています。


細部を見ていくと、、、
これはフロントパネル部分を俯瞰した写真です。
何これ?


上の写真を拡大したものです。
LEDの足を基板用コネクタに突き刺してあります。こういうやり方は初めて見ました。
さすが中華製です。


次は側面です。
AC入力ケーブルが電源SWに繋がっていますが途中、ACケーブルがDC出力端子に触れています。
DC出力には最大200Aの電流が流れます。
銅板で出力端子に接続されているのは良いのですが、ACラインに触れているのはマズいでしょう。
熱で被覆が溶けてショートする可能性があります。 


拡大したものです。
出力のインダクタにも触れています。
こんな窮屈に取り回さなくてもいいと思うのですが、、、


ACケーブルを付け換えた際に、取り回しを変更しました。
出力部を避けるようにしました。


こんな感じです。重さは10kgぐらいで軽量です。 


アルゴンガスの配管はこんな感じにしました。
ワンタッチカプラで簡単に取り外しができるようにしました。 


ちょっくらテストしてみました。綺麗にアークが飛びます。


自動遮光のお面(アーク光を検知して自動的に暗くなります)も快適に働きます。
TIG熔接はほとんどスパッタ(金属の飛び散り)がなく、ヒューム(煙)も出ません。
ガスの出るシューっという音と、かすかにチリチリとアークの飛ぶ音がするだけで
上品(?)です。

*もうちょっとトーチは立てた方がいいですね。


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