DR650SE 謎のジェットニードル加工 (キャブその4)  (2020年6月14日)

DR650のキャブレタのジェットニードル(以下、ニードルと略します)
の取り付け方法におかしいと思われる部分があります。

スライドバルブ(灰色)とニードル(青色)の取り付け部分です。
ニードルに、Eリングを付け、その下に白い樹脂スペーサ(赤色)を
付け、ニードルをスライドバルブの底面の穴に差し込みます。

ところがスライドバルブの底面の穴の周りには1.7mmの段差があります。
平らな樹脂スペーサが段差にぶつかって、ぴったりとはまりません。
樹脂スペーサーはキャブの上のフタからスプリングを介して下に
押し付けられています。長年の使用で、私のバイクの樹脂スペーサには、
段差の部分に凹みができていました(新品の樹脂スペーサは平らです)。

ProCycleなどの燃調キットでは、このスペーサを円形ではなくて
段差の部分を削ってD型に加工してあります。

樹脂スペーサをD型に加工すると、段差に当たらなくなるので
樹脂スペーサはスライドバルブの底面に密着して、安定します。
ただしニードルは、段差の分、1.7mm下に下がります
ですので、ニードルが未加工の場合、燃調的には 「薄く」 なります。

ニードルがしっかりスライドバルブに固定されない状態は
ヨロシクないので、改造することにします。
方針としては
 1.樹脂スペーサが円形(円筒)のままではいけないので
   削って、上から見てDの形に加工します。

 2.この加工によってニードルが下側に1.7mm下がるので、ニードルを
   1.7mm短くします。

ところで、DR650SEには仕向け地によって、若干の違いがあります。
北米仕様のニードルはEリングを取り付ける溝が1つしか
なく、位置を変えることはできません(6F23)。
一方、それ以外の地域のニードルは溝が5本あって
ニードルの位置を5段階に変えられます(6F19)。
6F19のSUZUKIの純正品番は 13383-32E00 です。

私のDR650SEは北米仕様の6F23で、溝が1つしかないのですが、
溝が5本ある6F19を手に入れました。
6F19の5本の溝の真ん中の位置が、
6F23の溝の位置と同一になります。
6F19の5本の溝は1mmピッチとなっています。

ニードルは先端ほど細くなるようにテーパー加工してあります。
6F19と6F23を比較してみましたが、同じテーパー形状でした。
違うのは溝の数だけのようです。


4万km走行した方のニードルです。側面にへこみがありました。
これはニードルが傾いて、スライドバルブの底面の穴の
側面にニードルが当たっていたからでしょう。

ニードルが傾くと、ニードルの先端部はニードルジェットに
差し込まれるようになっているので、ニードルジェットも
摩耗するでしょう。


これはストックの6F23ニードルです。
Eリングから先端まで60mmあります。


左側が4万km走行した樹脂スペーサです。
たぶん白かったはずですが、経年変化で変色して茶色になっています。
段付き摩耗しているのがわかります。


これは、スライドバルブの底面に段差があり、その段差に
樹脂スペーサが押し付けられるので、樹脂スペーサが
だんだんと摩耗していくのです。

私はこういう構造は欠陥と考えます。
このように段差ができるということはニードルが傾くことに
なります。

ならば始めからスライドバルブの段差に樹脂スペーサが
当たらないように、樹脂スペーサをD型に削ってしまいました。
上の写真の右側の樹脂スペーサがそうです。

スライドバルブの段差は1.7mmあります。樹脂スペーサの厚みは
2.5mmですので、このように削ってしまえば、樹脂スペーサは
スライドバルブの底面に密着するので、ニードルが傾くということは
なくなります。


ニードルの一番太いところはφ3.0mmなので、電動リュータのコレットに
ぴったりフィットします。これでテーパーを付けてみます。

→ これで削っていると時間がかかるので、最初はグラインダで荒く削って、
仕上げに電動リュータと紙やすりを使うのが良いと思います。


完成。
紙やすりは600番→1000番→2000番として
ピカピカにしました。

樹脂スペーサをD型に削ったのでが段差に当たらなくなり
ニードルは段差分の1.7mm下降しますので、その分
ニードルを短くしました。でも1mmぐらいしか短くなっていないような、、、
短くし過ぎると、どううしようもないので、少し遠慮しました。
溝が5本あって調整できるのでこれで良いでしょう。

そして、見てわかるように、テーパー形状を変え、尖った形状にしました。


サービスマニュアルのキャブレターの図を見つけました。
やはり樹脂スペーサ(赤く着色しました)の下にスキマができています(赤い矢印部分)。
そうするとニードル(青く着色しました)は図の左の方に傾き、ニードルが差し込んである
ニードルジェットに接触すると思います。

なぜこんな設計なのか不明です。
樹脂スペーサを無くし、EリングだけにすればEリングがスライドバルブに密着し
ニードルはまっすぐ下にに固定されるはずなのに。

天下のSUZUKIさんのすることなので、実は意味があることなのかもしれません。

早く試してみたいのですが、梅雨で作業ができませ〜ん
(うちは青空整備工場なのでした)。

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